ゆきの散歩を終えてジローと青空が広がり始めた朝、散歩へ出かけました。
何時ものように歩き、家の近くに来ると角のマンションのゴミ置き場で
道路に足を出して寝ている人を見つけました。

丁度曲がり角、危ない！
車が左折する角で運転席からは見えないかもしれないと判断して
ジローを急かし側にくると連れ合いが出た中学校の一年生でした。
手を胸の当たりで組んで寝ている姿を見て少しドキッとしました。

「どうしたの！」と大きな声で聞くと「眠いよ！」と起き上がりました。
周りには彼が持っていたノートが包まれていたビニールが散乱していました。
「学校は？」と聞くと「行きたくない」と応え
「風邪かもしれない眠いよ」と繰り返した。
熱は無く、幼さが残ったその少年とそこで一時間近く過ごすことに
なりました。
質問に素直に応え、話しを聞くことが出来る少年でした。
まず、散らかしたゴミを何故片付けるかを話し合い二人で拾い始めました。
ジローは、その様子を耳を立てて聞いています。
先ず、ジローの話しをしました。
彼は犬が好き、動物はみんな好きと言いました。
学校が楽しくない、とくに月曜日は苦手、
でも、勉強は好きとはっきり言いました。
スローな仕草から友だち関係やいろいろ嫌なことがあるのだろうと
察することができました。
ここで、ゆきの話しをしました。
来月で一年半になる我が家で過ごす時間、ゆきが自分で哀しいさや
苦しみを乗り越えて頑張ったことを話しました。

すると、家族の話しを彼から話し始めました。
両親の離婚、新しいお父さんの話し、
前のお父さんは個人タクシーだったからたくさんお金をもらってきたと言い、
今のお父さんはタクシーの会社なので少ない！と強調して言った。

私は、丁度午後から仕事だったので自分が働いて頂くお金の話しをした。
働くことがどんなにかたいへんで、子どもを養うことが両親に大きな重荷を
背負ってもらっていることに気づいてほしいなぁ?というおもいで
ジローを触りながら聞く少年に話した。

何度も「学校にも家にも帰らない」というこの子と同じ場所に
腰を下ろしジローも何かを感じたのか一緒に座って話しに付き合っていた。
しばらくして、彼が言った。
「今日は、学校へ行こうかなぁ?」・・・と。
嬉しかった。
「ジローと学校まで送ってあげる！」
内心、ジローが今まで歩いてきた道より長く
この散歩を続けられるだろうかと心配だった。
でもジローは、中学一年生のお兄ちゃんと歩き出した。
歩きながら彼は、「ボク、死にたくなるときがある」と言った。
「私もあるよ！」でもいろいろな人に出会ったり、ものを見たり、
聞いたりすることに心を向けて感じる気持ちを大切にすると
「頑張ろう！」と思うことができるんだなぁ?。

歩きながら「眠いなぁ?」と何度も彼は言った。
「あそこで寝て、家にも帰らないで『ホームレス中学生』になる！」
「嫌だよ！」と会っていた時間の中でいちばん柔らかな笑顔を見せた。
中学の門をくぐり、彼は校舎の中に消えていった。
ジローを見るとちゃんと座って中学生のお兄ちゃんが行った方を見つめていた。

ジローくん、お兄ちゃんが今日の事を思い出してくれる日があるといいねぇ?。
楽しく頑張れるといいねぇ?。

よく歩いた日でした。ジロー！えらかったね！！
優しく触ってもらったジローは、きっと夢をみるでしょう。
可愛い寝言が聞けそうです・・・・今夜。

前は、酔っぱらいさん、今度は中学生、ジローの散歩は楽しいなぁ?。
（07-11-12・おおきせいこ）
「ジローくん、酔っぱらいさんを助けたよ！」